換気時に効果が期待できるダクトによるCO2施用法
分 野
施設園芸
品 目
イチゴ等
技術概要
昨今の施設園芸では光合成促進を目的としたCO
2施用の普及が進んでおり、生産性を飛躍的に向上させていますが、この技術は温室効果ガスの排出量を増大させるため、持続可能な開発目標の実現には効果的な利用が求められます。
そこで、現在行われているダクトを利用したCO
2施用法の効果を検証しました。
- 光合成促進機で発生させたCO2を温風暖房機の送風機能を利用し、大径ダクトから施設全体に充満させる手法(以下「ダクト施用」という。)は、天窓あるいは側窓いずれかであれば換気時でも施設全体にCO2を充満させることがでます。
- 群落内部に小径ダクトを通し、強制送風によりCO2を施用する手法(以下「局所施用」という。)は、天窓あるいは側窓いずれかであれば換気時でも施設全体にCO2を充満させることができ、さらにダクト施用に比べ高い効果が期待できます。
図1 ダクト施用時におけるCO2の濃度変化(*外気のCO
2濃度をゼロとみなしました。上記凡例は図3計測地点を示します。)
図3 CO2センサー配置図
- 天窓と側窓による同時換気時は、ダクト施用では高い効果を期待できません。
図2 局所施用時におけるCO2の濃度変化(*外気のCO
2濃度をゼロとみなしました。上記凡例は図3計測地点を示します。)
- 短時間のCO2の施用と停止を繰り返す間欠施用は、換気時には高い効果を期待できません。
※利用上の留意点
- 側窓換気は内張サイドカーテンを閉じた状態で検証しています。
- 本試験はイチゴ栽培施設で行った結果です。
- 本結果は下表の条件で行ったものです。
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試験実施施設 |
CO2施用機名称 |
CO2発生量 (g/min) |
施用方法 |
ダクト施用区 |
所内鉄骨ハウス (間口15m奥行24m軒高2m) |
グロウエアCG254S1 ネポン(株) |
71 |
温風機のダクトを利用。ダクトは2m間隔の有孔。左右最外側通路に設置。 |
局所施用区 |
所内鉄骨ハウス (間口15m奥行19m軒高2m) |
真呼吸 (株)誠和 |
86~111 |
親ダクトから分岐した子ダクトから施用。子ダクト(7cm間隔有孔)は各畝群落内に設置。 |
- 本試験は施設外部が無風~微風(0~1.5m/s)の条件で行ったものです。施設内部のCO2は施設外部の風の影響を受けます。
- 施設内部のCO2は施設内外の気温の影響を受けます。本試験は令和5年10月11日~12月8日にかけて行った結果です。
関連情報
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部(電話:022-383-8124)